これまでの液晶テレビとも有機ELテレビとも異なる新しい映像方式、量子ドットLED技術「QLED」を採用した「65X10」。その仕組みは、直径2~10nmの微細な半導体ドットを敷き詰めたフィルムによって光の波長(色)を変換・制御するというもので、液晶パネル直下に配置された専用のフィルムにバックライトから青色LEDを照射することで、色純度を大幅に向上させている。同社の一般的な液晶テレビと比べると、色域が約115%広くなっており、自然界の生き生きとした色彩や果物のみずみずしさなどが、よりリアルに再現できるのだ。
量子ドットLED技術「QLED」の仕組み
量子ドットLED技術「QLED」は、直径2~10nmの微細な量子ドットを敷き詰めた専用のフィルムで光の波長を変換・制御する仕組み。バックライトから青色LEDを専用のフィルムへ照射することで、白色LEDを使用する一般的な液晶ディスプレイよりも、より自然に近い色を再現してくれる。日本国内ではこの技術を採用したテレビはほとんど流通していないが、世界的には有機ELとともに有望視される技術と言われ、TCLはそのリーディングメーカーの1社となる
高い色純度
量子ドットLED技術「QLED」は、色の純度を高められるのが最大のメリット。特に、これまでの液晶テレビでは表現が難しかった「緑」と「赤」の発光ピークが向上しており、より鮮烈な色彩表現が可能になっている
量子ドットLED技術「QLED」を用いることで、一般的な液晶テレビとは段違いの色純度を再現した「65X10」だが、本機の高い映像クオリティを支える技術はそれだけではない。「65X10」は、ディスプレイ直下に青色LEDを照射する約15,000個という驚くべき数のミニLEDライトを搭載しており、同社の一般的な液晶テレビの約3倍にあたる1,500nitsもの高いピーク輝度を実現。液晶テレビはバックライトの光源を改良することで、ピーク輝度を高めやすいのがメリットだが、本機はそうした液晶テレビならではのメリットを最大限に引き出している。また、画面を768分割して精密に制御するローカルディミング機能を搭載することで、豊かな階調を実現しており、奥行感やリアルな質感の画質が得られるのもポイントだ。
高い輝度とすぐれた階調
15,000個のミニLEDライトをディスプレイ直下に搭載するほか、画面を768ゾーンに分けて個別にコントロールするローカルディミング機能など、フラッグシップモデルらしい高度なテクノロジーを搭載。これにより、量子ドットLED技術「QLED」ならではの高い色純度に加えて、高いピーク輝度や豊かな階調表現も兼ね備えている
「QLED」を採用した「65X10」で映し出したガーベラの映像(左)と、一般的な液晶テレビで映し出した映像(右)を比較すると、「65X10」のほうが花びらの色をより鮮明に映し出していることがわかる。また、高輝度でも画面がやや白っぽく見える、液晶テレビでありがちな「黒浮き」が発生しにくく、黒の締まりがいいのも特筆すべきポイントだ
価格.comスタッフが「65X10」の映像をチェック
これまでにない技術により、高い色純度と輝度、豊かな階調を実現したという「65X10」。実際にその映像クオリティを体感できるのだろうか?
4K
HDRコンテンツを視聴し、詳しくチェックしてみた。
さまざまな色のカーテンが並んだ映像(左)では、カーテンの鮮やかな色彩をしっかりと再現。また、ドレスを着た女性が花畑に横たわる映像(右)では、ドレスや花びらのテクスチャーが細やかに再現されていた。量子ドットLED技術「QLED」の最大の特徴である色純度の高さが一見しただけでわかる。
水平線に夕日が沈む岩場の映像では、思わず目をつぶりたくなるような夕日の眩しさが再現されており、逆光下にある手前の岩場も、黒つぶれせずにしっかりと描き出されていた。また、湖畔の夜空にオーロラが浮かぶ映像では、幻想的なオーロラの輝きと夜空、漆黒の湖のコントラストがリアルで、3D映像のような立体感が感じられた。15,000個のミニLEDライトと768ゾーンのローカルディミングによる、高い輝度と豊かな階調がハッキリと確認できた。
また、「65X10」は、HDRの標準規格である「HDR10」や新4K衛星放送で採用されている「HLG」に加え、シーンごとに輝度情報のメタデータが付加されるHDRの最新規格「Dolby
Vision」にも対応。「Dolby
Vision」に対応した複数のコンテンツを再生してダイナミックレンジ(明暗差)を確かめてみたが、暗闇と光の輝きの対比が鮮烈で、漆黒の黒の表現が得意な有機ELテレビより高輝度が出せるダイナミックな画質が体感できた。これはぜひ実際に試してみていただきたい。
独自の120Hz倍速駆動技術「MEMC」が搭載されており、動きの速いアクション映画やスポーツ番組もストレスなく視聴できる。ラグビー映像を視聴してみたが、俊敏に動く選手たちの残像感がほとんどなく、鮮やかな色彩と高い輝度も相まって、躍動感あふれる映像が楽しめた。