8K+5G時代を先取り TCLの深セン工場に突撃 | TCL JAPAN
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8K+5G時代を先取り TCLの深セン工場に突撃 | TCL JAPAN

8K+5G時代を先取り TCLの深セン工場に突撃!

ワールドクラスの最先端技術が集結!

VGP審査副委員長 鴻池賢三

取材・執筆 / 鴻池賢三

2020年1月22日更新

TCLの本拠地では8K+5Gの技術も!

中国を本拠地とし、コストパフォーマンスの高い4Kテレビや、国内にQLED技術を採用したモデルを投入するなど、注目度を高めているブランド「TCL」。今回、特別にVGP審査員を務める鴻池賢三氏が、TCLの心臓部と言えるパネル工場を訪問取材。そこには8K/5G時代を見据えた最先端の取り組みと巨大施設がありました。

QLED技術を採用した4Kテレビを、国内にも投入したTCLは、8K、5Gの最先端技術にたいしても積極的に取り組むブランド。

2019年に日本のテレビ市場に本格参入したTCL。4K/HDR対応はもちろん、量子ドット技術を採用した高画質QLED液晶テレビから、コストパフォーマンスの高いシリーズまで幅広くラインナップ。VGP2020では、初エントリーながらQLEDモデル「X10」シリーズが部門賞に加えて技術賞も獲得しました。また、2020年には日本で8Kテレビを投入すると発表するなど、最も勢いのあるメーカーとして注目を集めています。

TCLが最先端かつコストパフォーマンスの高い製品を送り出せるのは、ずばり、ディスプレイの核となる部品であるパネルから完成品のテレビセットまで、グループ内で一貫して生産を行う「垂直統合」がポイント。そこで今回は、TCLの心臓部といえるパネル工場(TCL-CSOT/TCL華星光電)を訪問し、併設されているデモンストレーション施設を中心に、最新の取り組みを取材しました。

今回訪問した、TCL-CSOT液晶パネル工場。

テレビに本気! 「垂直統合」のビジネスモデル

TCLは中国恵州を本拠地とし、約2兆円もの売り上げ規模を誇る世界的な総合家電メーカーです。実のところ、1981年に磁気テープの製造販売を開始し、以降、カラーテレビの製造で急成長遂げ、2004年にはRCAブランドを獲得して世界最大規模に到達するなど、AVを祖業かつ得意としています。

TCLのテレビ製品の特長は、最も重要な部品と言えるパネルをグループ内企業「TCL-CSOT」で生産し、垂直統合体制で製造していること。少し詳しく説明すると、テレビの生産には、大きく分けて「垂直統合」と「水平分業」の2つのスタイルがあります。近年は、パネル工場の規模と投資額が巨大になりがちで、パネルは他社工場から購入し、最終のテレビセットは各メーカー(ブランド)が設計および組み立てを行う水平分業スタイルが増えてきました。

垂直統合でパネルから生産するには莫大な資金が必要で、企業としてはこれがリスクになりますが、最先端パネルの情報をいち早く得られるので、完成品のテレビ製品も一歩先を行けるのは大きなメリット。さらに、パネル工場が大規模で製造コストが圧縮できれば、完成品であるテレビ製品のコスト競争力にもつながることをご想像頂けるでしょう。

見学したTCL-CSOTのt2工場の内部。

8K対応液晶パネルの生産体制も整う

今回は、深センの光明新区にある「TCL-CSOT」液晶パネル工場に訪問しました。TCL-CSOTでは工場にt1~t7のナンバリングを行い、初期のt1/t2と最新のt6/t7は大画面テレビ向けで深センに集積、t3/t4は小画面モバイル向けで少し離れた武漢に位置しています。 因みにt1は初期と言っても2011年に量産を開始したばかりの新鋭工場。t6は2018年に同社として初めて超大型3370×2940mmのマザーパネルを生産開始した、いわゆるG11(第11世代 厳密な規定はなく、10.5世代と呼ぶことも多い)工場で、これは世界的にも最先端と言えるものです。

工場に併設された技術および生産品のデモンストレーションスペースの一部。広大でデザインや装飾も洗練された印象。筆者は過去、日本でいくつかのパネル工場を見学してきましたが、そうした経験から想像する「工場」とはかけ離れていました。

TCL-CSOTの生産拠点(t1~t7)を示す地図。インドにも工場を建設しています。

t6とt7は4Kに加え8Kパネルの生産も行うなど、TCLが8Kテレビ生産に向けて着実に歩みを進めていることが分かります。また、TCL-CSOTはTCL以外のテレビメーカーにもパネルを外販するので、TCL以外の複数のブランドからも8Kテレビが続々と登場することでしょう。

因みに、G11(3370x2940mm)のマザーガラスとは、6.5畳(江戸間)相当の大きさで、75型を最大6枚無駄なく面取り可能。つまり、75型の8Kテレビがぐっと身近な価格になることが期待できます。

t1-t7の解説パネル。総投資額はなんと3兆円規模と豪快! <深セン> t1 G8.5 テレビ向けパネル/t2 G8.5 テレビ向けパネル/t6 G11 4K/8Kテレビ向けパネル/t7 G11 4K/8Kテレビ向けパネル <武漢> t3 G6スマホ・タブレット・車載ディスプレー向け液晶パネル(主にLTPS)/t4 G6 モバイル向け有機EL(アクティブマトリクス式)

宇宙船の内部のように未来的な展示スペース

今回はt6工場に併設されたデモンストレーションスペースの展示内容を中心にご紹介します。工場にこうした施設を設けているのには理由があります。TCL-CSOTはパネルを外販しているので、TCL以外のテレビメーカーに取り組みや技術紹介を行うのは極めて重要。白を基調とした広々としたスペースは、映画に出てくる宇宙船の内部のようでもあり、未来を感じるものです。

では、展示内容を写真と共に解説して行きましょう。8Kがもう未来でないことが実感できるはずです。

デモスペースの入り口付近には、マザーガラスの世代と寸法を実寸で示した展示。G11(G10.5)の桁違いの大きさがご理解頂けるでしょう。マザーガラスが大きくなると、製造装置や搬送装置も大型化する必要があるので、設備投資も大きくなりがちです。

TCL-CSOTのパネルを使用したTCL大画面テレビ製品がずらりと展示されています。

75型4Kのカーブド液晶デモ機。パネルの曲率はR4000。日本では浸透しなかったカーブドスクリーンですが、75型クラスになればまた違った需要があるかもしれません。

「65”UHD 120Hz」は、4Kの倍速駆動が特徴。写真右の「65”CDQ」はTCL-CSOT独自の広視野角技術。技術の詳細を伺うことはできませんでしたが、映像はVAとIPSの中間的な印象でした。

「Mini-LED」テレビと AM Mini-LED(BLU)モジュール回路の説明。デモは75型で3,600~4,000と多分割駆動を行い、ハレーションが少なく高コントラストな映像を提示。LEDと必要な回路がセットになった「モジュール」を提供するのもポイントです。なお、TCLのQLED技術採用「X10シリーズ」は、この「Mini-LED」に近いと思われる技術を適用し、15,000個ものLEDをパネル直下に配置。ローカルディミングは768ゾーンですが、1,500nitsというピーク輝度性能を達成し、HDR時代に頼もしいスペックを実現しています。

ラプラシアンフィルタ(二次微分を利用して画像から輪郭を抽出する技術)を応用した画像鮮明化技術のデモ。解説によると、”鬼影”(おそらくシュートのようなアーティクラフト)を抑えつつ、コントラストやディテールを増すことができるというものです。効果は写真の通り。

ひときわ存在感を放つ「8K+5G」コーナー。デモは5Gで信号を伝送し、USBに変換してテレビ画面に映し出すというもの。CSOTが8Kに注力していることがひと目で分かります。日本では通信の5G化が遅れているといわれていますが、短距離の低遅延大容量データ伝送を目的とした「ローカル5G」が盛り上がっています。それにしても、近年の中国メーカーの積極的な技術開発には、目を見張るものがあります。背面には、CSOTが、8Kテレビに必要な「チューナー」「8K TCON IC」(タイミングコントローラー)、「8Kパネルドライバー」、「8K液晶パネル」など、8Kテレビに必要な技術が全て整っている旨の説明。

65型8Kのデモ。4K信号を入力し、8Kに超解像アップスケーリングする技術もアピール。8Kコンテンツが充実するまで必須の機能も漏れなく網羅しています。

ガラス板を用いたフローティングデザインの8Kテレビ。電源ケーブルが見当たらないのは足の内部を通しているため。提示技術をつぎ込めば、こうしたスタイリッシュな8Kテレビも夢ではないのです。

そのほか、ディスプレイ技術を応用した産業用途の展示も多数あります。バス停向けは高い輝度と耐久性が重要。各種監視用途には大型マルチディスプレイ技術や超横長ディスプレイ、販売店舗のPOP用は各種サイズや形状のほか、扱いやすい表示システムの提供も重要になります。

スマホ用の液晶パネルも最新技術を展示。「美人尖」は、「細い顎」を意味するそうで、インカメラ部分をできるだけ小さく切り欠き、画面を広くしようとするもの。

最新パネル技術は、カメラレンズ部分のみを穴状に切り抜いた「面内掘孔」タイプ。TCLが日本で発売を開始した最新スマホ「PLEX」にも同等品が搭載されている模様。展示品のスペックはIPS/6.39インチ/1080×2340画素/1500:1/600nits。

最新パネル技術は、カメラレンズ部分のみを穴状に切り抜いた「面内掘孔」タイプ。TCLが日本で発売を開始した最新スマホ「PLEX」にも同等品が搭載されている模様。展示品のスペックはIPS/6.39インチ/1080×2340画素/1500:1/600nits。

最先端機器を導入し安定した品質を実現

今回はt2工場の内部を見学させて頂きました。撮影は一切禁止とのことで、TCL-CSOT提供写真以外はお見せできませんが、筆者が見た限りでは、過去訪問した日本のパネル工場と寸分違わぬ風景。液晶パネルとTFT(電極)パネルを製造して張り合わせるというのは基本ですが、生産ラインには最先端機器を導入しほぼ無人で製造するのも同じ。これなら世界中どこで作っても品質は安定していると思われ、輸送を考えるとテレビ工場に近い深センという地の利が活きそうです。

因みに基盤といえるマザーガラスの製造は併設されたAGC(旧商号: 旭硝子)が担当。これも筆者が日本で見てきた光景と同じで、協力工場が同じ敷地で生産し、さらに工場内部で連結することで輸送を不要にできるのです。何より、中国で伸びる世界規模のパネル生産に、日本企業の技術が生かされているのは嬉しく思いました。日系企業のパネルおよびテレビ生産規模は縮小傾向にあっても、テレビ作りには欠かせない存在なのです。

AGCのロゴを掲げたマザーガラス工場。筆者の知る限り、どのパネル工場に行っても、ガラスは世界最大手の「AGC」。デジタルだけでは完結しないガラスパネル作りには、日本の職人技的な技術が不可欠?

巨大パネル工場から感じる勢いと熱気

パネル工場に約3兆円の投資を行い、大規模生産によるコスト低減や、超大画面8Kといった最新パネルの生産を行うCSOT。今回、深センの工場に訪問し、そのスケールや先進性に加えて、周辺地区の工場や鉄道建設工事ラッシュも目の当たりにして、圧倒的な勢いと熱気を肌で感じました。

昨年までは少し先と思っていた夢の8Kテレビ。中国勢の積極的な取り組みにより、意外と早く消費者に近づいてきそうな気配を感じました。2020年、さらに多くの8Kテレビが登場することでしょう。

国内でTCLの8Kテレビが登場する日も近いかもしれません。2020年もTCLのさらなる躍進に注目です!